最近観た映画たち
好きな監督、嫌いな監督、段々と映画に関する知識が蓄積するとハッキリと分かってくるもので、面白いよね。なるべく新規開拓を行ってるつもりだけど、知らず知らずと偏りはあるのかも。
・South Park 無修正映画版
・ミリオンダラーベイビー
・グラディエイター
・フィフティフィフティ
・グッドウィルハンティング
South Parkの映画を初めて観たけど、明らかにデイズ二―を意識したようなミュージカル仕様になってて、喧嘩売ってる感が凄かった。あと、地獄に居るサダムフセインが閻魔大王っぽいのとアナルセックスしてるのとかも。全方位に中指立ててるのはもはや感心してしまうレベル。
ミリオンダラーベイビーは、パッケージング化されたハリウッド製お決まりのサクセスストーリーかと思いきや後半でいきなり転調して、描写されるどこまでも冷たい愛情に涙してしまった。”アメリカンスナイパー”を観たとき、イーストウッドはアメリカ神話という大きな虚構の解体に挑んでいる節があって、ミリオンダラーベイビーはアメリカンドリームのうすら寒さをうまく抉り出してて。この監督は行き過ぎる愛ゆえにアメリカ社会に唾を吐きかけている様に思える。若干ネタバレになるかもしれないけれど、メインキャラである女性ボクサーがスポーツの世界で大成する。後に大けがをするのだけれど、貧しい出自、いわゆるWhite Trash(Redneck)である彼女はお見舞いに来た両親含めた家族に自身の財産を集られる。これがアメリカンドリームの末路だと言わんばかりに。単に社会に対する警鐘以上のメッセージも込められてて、あと数十行は語れそう。まぁこの辺で。
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ブレードランナーはファイナルカット版に関しては初の鑑賞。留学してた時も見たけど、あれは確かディレクターズカット版だったっぽい。調べると5種類ほどバージョンがあるらしい。原作と比較すると、やっぱりアンドロイドと人間の境界が曖昧化していくみたいな、違いの部分に焦点を当てるのではなく、アンドロイドと人間の共通項である命と存在目的に関するストーリーが展開されているという感じだった。いわゆるディック感覚と呼ばれるアイデンティティクライシスな内容は無くて、それを求める人にはあんまり味気ない映画なのかも。あとテンポが悪い。あ、同じリドリースコットと言う事でグラディエイターも鑑賞した。これはクッソ微妙やった。
SF繋がりになるけど、スローターハウス5も観た。これは原作も読んだけど映画の方が圧倒的に面白い。思わず同じ監督の明日に向かって撃ても観た。これらはどちらも傑作と言ってよい。スローターハウス5は、世界を4次元に、つまりあらゆる時間軸さえ知覚できるようになった主人公が、どのように生きるのかという事を描いた作品。作中に出てくる自由意思観みたいな部分は忠実に原作再現されてて、是非とも観て欲しい。運命は既に決定されてて、仮にそれを知覚して行動したとしても結果は変わらないなら、人間はどのように生きるべきなのか?作中のアンサーは”嫌なモノから目を背け、好きなものに集中する”という、主体性と自由意思に対する深い絶望が伺えるものだった。Wikiを見るに、ドレスデンの空爆が作者に与えた影響は相当で、自身を納得させるためにこのような意思と時間の観念・創作物を産み出したのかと思うと何とも悲しい。天国ニョーボ*1を髣髴とさせる。
命に関する映画と言えば、フィフティフィフティも見た。これはガンに冒された主人公の闘病というか日常の話だけど、なんか盛り上がりに欠けて、ずっと沸騰しないお湯みたいな感じ。
まぁ言及すべき映画はこんな所かな。
*1: